精錬する時のソラさんの姿は鋭利な真剣そのもので。 いつものボケっとした表情とは別の顔を浮かべる。 真摯な目は真っ直ぐに焼けて赤くなっている鉄にだけ向けられる。 俺はそれを見るのが好きだった。 …かつて人間は、神に剣を捧げていたのだと言う。 その刀を打つ職人を鍛冶師と言って、だから鍛冶師は神職なのだと言う話を思い出した。 そして今は、人は生きるために剣を打つ。 俺は使えない剣よりもソラさんの実用的な剣が好きだった。 持ち主を思い、自身の気を込めて命のように火花を散らしながら形になっていく鉄の塊は武器を扱うものにとって命を預ける大事な相棒になる。 「昔の人間は生まれた時に親から一本の刀をもらっていたそうです。それを守り刀といって悪いものから身を守ったのだと」 だから、自分もそんな武器を作りたいのだと。 たった一人のために作られた武器を。 命を守る武器を。 それはきっと、過去に目の前で死なせてしまった人達への懺悔。 赤く焼けた鉄を一定のリズムで打つ音だけが工房に響く。 ソラさんの額から汗が落ちて地面に染み込むのを見ていた。 「………」 ふと、彼と付き合いだした頃の事を思い出した。 付き合いだしたきっかけはソラさんからで。それから逃げるソラさんを口説いて口説いてやっと頷いてもらって。 その時に彼としたたった一つの『約束』 『約束してください…』 静かに涙を零しながら呟かれた約束は今も胸の内にある。 鉄を打つ音が工房に響き渡る。 俺は目を閉じて止む事の無いソラさんの命の音を聞いていた。 ANGELIA 打ち終わり、一刺し一刺し丁寧に刃を研ぎながら、その切れ味を見る。 星屑の淡い光を纏うマインゴーシュ。それは今まで見たことが無いくらい光に溢れていた。 やがて満足行ったのかふうっと体の力を抜いて息をついた。 「かなり時間かけてたね」 そう声をかければソラさんは驚いたように肩をすくめた。 「あれ?バーン君いたんですか?」 いたんですよ。始めから。 少し顔色が悪い彼を見て椅子から立ち上がる。 「……ま…打ち出したら周り見えなくなるのはいつものことだけどね…」 「あははは…、ごめんなさい。夕飯食べました?今何時かな、もう商店閉まってますかね」 刀を大事そうに布に包んでテーブルに置くと、ふらっと彼の体が揺らいだ。 製造後はいつものことなので慌てずに手を差し出して支えてやる。 「あんたがふらふらなんだろ。こんなに気力使って、俺のことにまで気を使わなくていいんだよ」 腰と足を掬って横抱きにする。 「ちょ…自分で歩けますって!」 「俺があんたを甘やかしたい気分なんだよ。もう夜も遅いし寝る?それとも腹減ってる?りんごくらいならあったと思うけど」 そう言って歩き出せば諦めたのか大人しくなる。 それとも疲れすぎてぐったりしているだけなのか、 「……いえ、…寝ます」 もっと高レベルの武器を作ったかのような消耗。 通常の状態だったら星のカケラをこめたマインゴーシュを作るくらいでここまで疲れを見せるはずが無い。 少し青ざめているようにも見える。 胸にもたれるようにして大人しくしているソラさんにこれはちょっと…いやかなりやばくは無いだろうかなんて思ってみたりする。 何がと言われれば漠然としすぎて答えられないのだけれど。 昔いたギルド関係は彼にはまだ鬼門なのだとそれだけを思い知る。 工房の二階に寝室はあった。 階段を上がって2階の奥。 もうすでにここはわが家のようなものなので、遠慮なくソラさんを揺らさないように抱きなおしてドアを開ける。 小さな部屋にベットとクローゼットが一つづつ。 床には昨日来たのだろうシャツが一枚落ちている。 それを踏まないように避けてベットの上に彼を降ろした。 シーツを下から引きずり出すようにして掛けてやる。 「…?今夜は止まっていくんじゃなかったでしたっけ?」 横になったままうつらうつらと半分目を閉じた状態で俺を見上げる目は、思わずどきりとするほど色っぽくて。 それでも、手を出さずにいる自分を褒めたくなった。 それでも一緒に寝ればなけなしの理性も吹っ飛ぶかもしれないから。 「下のソファで寝るわ。ソラさんゆっくり寝たいだろ?」 「……」 寝心地を大事にして買ったというダブルベットは確かに広かったし、何度も一緒に寝ていたけれど。 …なんとなく今日だけは遠慮した方がいいんじゃないかと思ったから。 毛布を肩まで引き上げてやってぽんぽんと胸のところを安心させるように軽く弾ませた。 するとポツリと聞こえるか聞こえないか位の小さな声が聞こえた。 「…バーン君」 ぽつりと俺の名を呼ぶソラさんに思わず手をとまる。 見ればじっと、置いていかれる子供のような目で見上げてきている。 言葉には出さなくてもそばにいて欲しいと目だけで言ってくる。 「……」 「手を出すかもしんないよ?」 「…信頼してますから」 ホニャンといつもの笑顔で笑われて、俺もはーっと息をついた。 「他の人間にはそんな事言わないでよね?」 鎧の繋ぎ目に指を差し込んでベルトをはずす。 ちゃりちゃりと編み上げられた鎖が音を立てるのを聞きながら床に落とした。 やがて下に着ていたシャツとズボンだけになって漸くベットに入る。 するとすぐにソラさんが俺のシャツにしがみ付く様に胸に顔を落としてきた。 甘えるのが苦手な彼が珍しくしがみ付いてくるのにちょっとどきどきしながら彼の肩を抱きしめるように腕を回す。 視線の先には灰色の髪しか見えなくてもう寝てるのかどうなのかすらわからなかったけれど、俺はなんとなく彼の髪に顔をうずめた。 風呂に入らずにいるものだから、鉄と火のにおいがする。 「……心音が」 ぽつりと言ったその声に彼がまだ眠れていないのだと知る。 「?…ソラさん?」 「心臓の音がしますね…」 黙っていたと思ったら、そんなものを聞いていたらしい。 俺はくすっと笑って彼をいっそう胸に引き込む。 「…ドキドキしてるだろ。ソラさん抱きしめてるから」 「…………」 ソラさんは何も言わずにしがみ付いていた手を離して俺の背中に回す。 二人の体の隙間が無くなってよりいっそう密着する。 そして俺は徐々に力の入ってくるその腕が震えているのを知った。 「………っ」 漏れたのは堪えようとして堪え切れなかった嗚咽。 胸に感じるのは水に濡れた感触。 昔いたギルドメンバーの子供に会う事で、蘇ったのは過去の深い悲しみ、後悔。 少年に感じたのはきっと謝罪と懺悔。 そして…恐れ。 辛い時に辛いと言わない彼に愛しさと切なさが溢れてきた。 どれだけそうしていたのか。 抱きしめながら何も言ってやれないもどかしさに苛まれていると腕の中からかすかに声が漏れてきた。 「あの少年は…全滅したパーティの中で僕を蝶の羽で助けてくれた騎士の子供なんです…」 ああ…。 「ぼくはもしかしたらあの子をまた死なせてしまうかもしれないのに…っ。彼に…武器を…っ」 漸く吐き出してくれた弱音に答えるかのように彼の髪を撫でた。 それに促されてくれるかのようにソラさんは言葉を続ける。 「…どうして…僕は、そうすることしかできないのか…。自分ではろくに戦うこともできないのに…何故人を危険な場所に追い込むような真似をするのかっ」 ひきつけを起こすように息を吸うのを少しでも楽にしたくて指を彼の頬に当てる。 濡れてる頬を指で拭う。 「…ソラさん。それは俺達の意思を無視してる」 ソラさんは顔を上げてはくれなかったけど、俺の言葉に確かに反応した。 落ち着かせるように、静かに語りかける。 「武器があるから戦うんじゃないんだ。目的や目標があるから、みんな闘うための力を欲しがるんだよ。あいつだって父親のようになりたいって言ってた。どんな人だったか知らないけど、俺はソラさんを生かしてくれた人だから感謝してるし、きっと強くて優しい人だったんだろうって思う。そんな父親を目標にしている子供の意思を否定しないで欲しい」 「…………」 呼吸を止めたソラさんを強く抱きしめる。 めったに無い弱音を吐いてくれるのに、俺はそれ以上できなくて。 ただ、泣き止んで欲しいとそれだけを願う。 「ソラさんが作るのはたった一人のために作られる守り刀だって言ったじゃないか。俺もソラさんが作ってくれた刀にずいぶん助けられてきた。感謝してる。…きっとあの刀もあいつを守ってくれるよ」 だからそんなに悲しまないで。 頬に当てていた掌を彼の顔ごと上げて、濡れている青い瞳を覗き込んだ。 いつも優しく澄んだ目が、今は切なげに揺れていた。 それにキスして、涙を吸い取る。 濡れた頬にも、唇にもキスを落とした。 「あんたは自分ではろくに戦えないって言ったけど、そんなこと無い。俺はいつだって剣にあんたの意思を感じているから。一緒に戦ってるから」 「………………」 ソラさんの腕に引き寄せられるようにしたキスはまだ塩辛くて、愛しさと切なさに少しだけ胸が痛んだ。 そうして、漸くゆっくりと眠りに引き込まれたソラさんを抱きしめて俺も目を閉じた。 どうか、彼が悪い夢に囚われませんように。 夢魔が来ても過去の亡霊が来ても渡さないから。 だから今はゆっくり眠って。 眠る彼を守れるように、願った。 4 「…ええ、…わかりました。…じゃぁ、今日は遠慮しておきますね」 浮上しだした意識の中でソラさんの声が聞こえてきた。 「あんまり無理させちゃダメですよ…?……僕達の心配は要りませんっ」 後半の台詞だけ少し慌てたように。 どうやら、誰からか『耳打ち』されているらしい。 ああ、いつものソラさんだ。 まだ目蓋は少し赤かったけれど、目は朝の空のように明るい。 隣で上半身を起こして片耳を抑えているソラさんに手を伸ばした。 「?…!」 ソラさんの腰に片方だけ腕を回して太ももに頭を乗せる。 膝枕〜v 寝ていると思っていただけに驚いたのだろう。 ソラさんは「こらっ」と言うように眉を寄せて軽く作った握り拳で頭を叩いてくる。 だけどそれも軽くて。むずがゆい気がしてくすくすと笑う。 「あ、いえ。何でも。じゃぁ、明日伺いますから、ラン君捕まえといてくださいね?」 どうやら、耳打ちの相手はカイらしい。 耳打ちが終わったのを見て俺は下から見上げる。 「今日は来るなって?」 「ええ。バーン君が昨日言ってたのもわかりますよ。カイ君の話をちょっと聞いただけなのに、何となく当てられたような気が…若いっていいですねぇ…」 もうお腹一杯という様にため息をつくソラさんの発言に笑う。 年寄りくさいと言えば、むうっと口をへの字に曲げる。 そんな所もかわいい。 「今日の予定空いちゃいましたねぇ…ウィン君が来るのも明日ですし…」 どうやら昨日着ていたあの少年の名前らしい。 そして彼の名前を呼んでもソラさんの表情から影が浮かばないことがわかって俺は嬉しかった。 「ふーん。じゃぁ、俺も今日は一緒にいようかなー」 「え?あ!うわ!!!」 回していた腕に力を入れて布団の中にソラさんを引きずり込む。 抵抗しようとする彼の上に乗り上げてちゅっとキスを落としてにっと笑う。 「俺達も新婚ごっこしよっか」 「…ごっこ遊びするほど、お互い子供でもないんじゃないですか?」 そんな事をいいながら、頬を染めるソラさんはむちゃくちゃかわいくて。 「子供にできないこともしちゃうし?」 「…そういう問題でもありませんよ、バーン君」 光漏れるシーツの中、二人だけの世界で何度したかわからないキスをした。 「…んっ…あああっ!」 「……」 口の中に吐き出されたソラさんのものをそのままに、彼の弛緩した体、腰の下に枕を差し込んで腰を上げさせる。 ちょっともったいないと思いながら口の中に含んだものを唾液ごと指に絡めてそれをソラさんの後孔にゆっくりと差し入れる。 カイに貰った蜂蜜の事を思い出したけれど、おそらくまた顔を真っ赤にして怒るだろうソラさんのことを思って諦める。 その代わりもう少し丁寧に解そう。 奥に進むごとにこわばっていくソラさんの体が辛くない様に胸の感じる所を愛撫しながらもう片方を舐め挙げる。 「ふ…っん…!…あ、…っ」 朝の日差しが厚くは無いカーテンごしに入ってきて薄明るい部屋の中。 見られているのが恥ずかしいのかいつもより恥ずかしがって感じているソラさんの姿はすごく扇情的だった。 熱をはらんで桃色に染まった肌は汗ばんで、触れれば馴染んでもう離せそうに無いほどで。 灰色の髪が白いシーツに散らばり、目を閉じて声を上げるその姿に煽られながら、中で指をゆっくり動かして彼の感じる所を探す。 その中の熱さを指で感じて、ここに自分を入れた時の気持ち良さを思い出して俺自身も熱くなって来る。 「ひっ!!!」 やがて引き当てたそこは、ギリギリまで指を伸ばさないと届かなくて。 せめて突くように指を出し入れすれば、ソラさんの浮いた足がびくっびくっと痙攣した。 「バーンく…っ」 薄く開いた水色の瞳に涙を浮かべてシーツを掴むソラさんは、止めて欲しいのにそれを口に出すのが恥ずかしくてしかたないらしくて。 止めて欲しいと訴えようとするのをダメと言って遮る。 まだ、ここは狭いから。 うねる内壁はまだ二本の指ですら締め付けて痛い。 「だめ…イっても良いから、もうちょっとならさないと…」 胸を嬲っていた手を下に滑らせて立ち上がりかけているそれを握りこむ。 「――!!…やっあ!」 体の中は知らないけど、ここを摩られたときの気持ちよさは俺も知ってるからいい所だけをすり上げる。 中に埋めたものも動かせば、あっという間にはち切れんばかりになる。 それでも、ソラさんは止めさせようと手を伸ばしてきたが、もう力が入らないのか俺の腕に爪だけを立てた。 「んっ…や…だっ。も…っ!」 艶めいた声と、首を振って懸命に耐えようとする姿が色っぽくて、噛み付かんばかりに彼にキスをする。 舌を絡めて、それでも飲みきれないのかソラさんの口の端から混ざり合った唾液が零れる。 その口内の奥に覗く赤い舌。 「んっ…ふ…っ―――――!!!」 少し乱暴に擦るとのけぞるように顎を逸らす。 目じりから零れた涙がシーツにこぼれ、声にならない悲鳴をあげた。 その表情にぞくっと電流が背筋に走った。 「ーーっ……っ……」 更に二度三度くびれを指先で撫で上げるとそれに促された残滓が零れた。 荒れた息を整えるように反らした喉が何度も上下する。 たまらずそれに歯を立てて舐め上げる。 「やぁあっ!」 指を濡らした白い液を更に孔に刷り込む。少し性急だったのか、ソラさんが短く声を上げる。 「ソラさん…」 もうちょっと我慢しようと思ってたけど…。 痛くないようにしてあげたかったんだけど。 「ごめん、俺が限界…っ」 「ん…っあっ!ああああああ―――!!!」 ソラさんの腰を抱えるように抱き上げて解してきたそこに自分のものを押し込んだ。 濡れたそこに誘い込まれるように一気に奥まで収めた。 「やぁっ…あっ!!!!」 衝撃にびくびくと中が痙攣している。 それにもうイきそうになって腰の動きを止める。 しばらくそのまま抱きしめて衝動を抑える。 ソラさんの呼吸が苦しそうでそれが落ち着くまで聞いていた。 「…熱い…」 「………?」 ソラさんの中は溶けそうなほど熱くて気持ちいい。 懸命に体の力を抜こうとしているソラさんが愛しくて額にかかる髪を指で掬うように撫で上げた。 本当はもう動き出したくてたまらなかったのだけど。 「ソラさん…大丈夫そう?」 「………ん…」 返事の代わりに小さく頷いてくれたけど、やはり辛かったのかそれにぽろりと瞳から雫が零れる。 それを指で拭う。 本当は、後ろからの方がいいのかもしれないけどそれだとソラさんの顔が見れないからなぁ…。 「ソラさん、俺に腕回して?それでちょっとだけ我慢して?」 「?」 俺はソラさんが肩に手を回したのを確認して、細い腰に衝撃が少ないように支えながら彼の体を起こした。 そのまま抱き上げてベットに腰を下ろした。 「んっ!!!ああっ!!!」 「…んっ」 ソラさんが俺の上に座り込むような形になって繋がりがいっそう深くなる。 それに二人息詰めて耐える。 やがてその衝撃も流れていって息を吐いた。 「な…何を…」 目の下を赤く染めてそんな顔で睨まれても怖くない。 「ちょっとした、アクロバット気分?」 「ばか!!」 案の定ぽかっと頭を殴られる。 それは痛くないけど、下のが締め付けられてちょっと辛かった。 「ごめん。だってソラさん体硬いし。こっちのが楽だと思ってさ」 「硬いって…そんなこと…っ」 「息苦しそうじゃん」 そう言ってベットのスプリングを使って下から軽く突き上げると、内側が擦れてソラさんの体がピンっと伸びる。 「あっ」 内壁もそれに合わせてうねって俺のを締め付ける。 「…少しは、いい?」 ちょっと不安だったが、息をするのは楽そうで思っていた以上に体も抜けている様子に安心する。 ソラさんが膝を付ける様にして座っているのも彼が楽な要因だと思う。 それに目線が並ぶことに気がついてちょっとラッキーと思った。 俺の方が15センチ近くでかいもんだから入れたままキスすのも苦労するのだ。 ソラさんは恥ずかしそうに俺の肩に額を乗せていたけど、それを唇で追っていってキスする。 やがて舌を絡ませたまま腰を動かし始めると感じてくれているのか声を漏らす。 「んっんんっ」 「…ソラさんの中、きもちいい…」 「…っ…ば、馬鹿っ…あっ」 だけど、こんな小さな動きでは互いにだんだんもどかしさの方が先立ってしまってしまう。 じわじわと追い詰められていくのもいいけど、もう少し強い刺激が欲しくて俺はソラさんの腰を両手で挟むと上に持ち上げた。 「!?」 「ソラさんも、動いていいから…一緒にイこう?」 そのまま引き込むように腰を落とす。 「んあああぁぁっぁぁぁっ!!!」 柔らかくなってるそこは俺のをずぶずぶと飲み込んでそれを更に下から突き上げる。 「やぁっ!!!あああっ」 いつもより感じてくれているように見えるのは気のせいじゃないはず。 いつもより柔らかく強く締め上げているそこがそれを教えてくれた。 「んっああっ…待ってっ…やぁ!ぁぁぁああっ!!!!」 二度三度とそうやって腰を落として彼の中を味わう。 その頃には半分意識が飛んでいるらしいソラさんも膝を使って自分から少しずつ腰を動かすようなっていて。 自分の限界が近くなって、ソラさんももうそれが近いことを確かめる。 「バーン……もっ…ダメ…っ」 力の入らない腕でそれでも俺に抱きつきながら耳元で甘い声を上げる。 俺の名前を君もつけずに呼ぶのは半分意識が飛んでいるこの時だけで。 俺もそれに彼の名前だけを耳元で囁く。 とたんに内側が締め付けられるのを抉るように腰を打ち付けて俺はソラさんの中に開放していた。 「バーン君…前にした約束覚えてます?」 「え?」 あれからもう一ラウンドして、腰に力が入らなくなったソラさんと一緒にお風呂に入るというおいしい思いをした後。 綺麗なシーツに張り替えたベットの上で二人惰眠を貪る事にした。 そこで出た話題は、昨夜俺が工房で考えていた事で。まさか心でも読まれていたかと思うようなタイミングにドキっとした。 約束。 それは俺達が付き合いだした頃にしたたった一つのソラさんの願いだった。 「覚えてませんか?」 「…覚えてる…けど…。…いきなりだから」 また辛い事を思い出してんじゃないかとおずおずとソラさんの頬に触れる。 その手に自分の手を重ねながらソラさんがかすかに笑う。 2年前に約束したときには悲壮感しかなかったのに、今は笑ってくれる。 いくら切なくても、痛みは胸にあっても。 「約束、忘れないでくださいね。…もし僕が死ぬ様なことがあっても……」 「………」 「僕と会った事、付き合った事、こういう時間があった事も…後悔しないでください」 幸せであればあるほど、失ったときの衝撃は大きくて。 仲良くなったばかりの奴らが死んだ時でもその日は食事も喉を通らなくなるほどだと言うのに、もし愛しいこの人を無くした時の衝撃はいかほどのものか。 ぞっとする。考えたくもない。 だけど、何が起こるかわからないのが俺たちの生きる世界なのだ。 「他の誰かを選んでくれていい。いなくなった後のことに責任は取れないし、君には幸せになってほしいから。……でも僕との事を悔やむことはしないでくださいね」 それだけは望んでもいいことでしょう? 微笑むソラさんは、あの日大切な人たちを失って後悔したんだろうか。 したのかな…。 …でもきっとそれは自分の力の無さにであって。 彼らとの思い出はずっとその胸に大切にしまって生きてきた違いない。 そんな彼を俺は強いと思った。 彼を引き寄せて強く抱きしめてあの日と同じ誓いを立てる。 「……しない。後悔なんてしない。…約束する」 あんたより先には逝かない。それは前々から自分に誓ってきたこと。 …でもねソラさん。できるなら俺はあんたと一緒に死にたいよ。 あんたを残すことが無いように、残されることが無いように。 俺はあんたのように強くなれそうに無いから。 俺はそんな自分の弱さに顔を歪ませた。 そんな俺に気づかれてない事を感謝しながら。 5 「うわぁ…」 少年…ウィンは出来上がったばかりのマインゴーシュを、両手で、片手でと握り直しながら歓声をあげる。 新しい自分の武器を大事そうに見ながら。 「すごい…、手にすごくよく馴染む…!」 その様子をほほえましく見ながらソラさんは 「今はまだ少し重く感じることもあるでしょうが、それも力をつけていけば感じなくなるはずです。まぁ、もっともその頃にはこれじゃ物足りなくなってるとは思いますけど。その時はまた来なさいね」 「はい!頑張ります!!!!」 ん、いい返事。 「じゃ、行くか」 俺がウィンの頭にポンっと手を置く。 「へ?」 「え?」 俺の言葉にウィンもソラさんも首を傾げる。 「だから、お前騎士になりたいんだろ?外の歩き方も満足に知らない奴を一人で放り出すのも危ないからイズルードまで送ってってやるよ」 「!!!!!うわぁぁぁぁ!!!!ありがとうございますー!!!!」 「ぎゃー!!!刀振り回すなー!!!!!」 やはり不安だったのか感極まって抱きついてくるウィンの出しっぱなしのマインゴーシュを避ける。 ウィンが慌ててマインゴーシュを鞘にしまうのを見てると 「…いいんですか?」 隣でソラさんの瞳が不安げに見上げてくる。 俺がこんな事を言い出したことの理由をちゃんと理解してくれているのだろう。 「一人より、経験者がついてた方が旅の理解も早いし。あそこら辺までのモンスターはレベル低いから心配要らないと思うけどついでだから剣の振り方も教えとく。…どうもこいつは危なっかしそうだ」 「ひどいっすよー!」 呆れた様に言うとウィンがプウっと頬を膨れさせた。 それにソラさんと一緒に吹き出して、笑う。 「……バーン君」 「ん?」 「…ありがとう」 「んー…」 改めて言われると照れる。これは俺の自己満足もあるのだから。 「気をつけてくださいね」 「2.3日で帰るから。一人で寂しかったら『耳打ち』していいからさ」 「……馬鹿…」 そう言いながらソラさんはふわりと笑った。 どこまでも青い今日みたいに綺麗に晴れた空の様な笑顔。 思わず見とれてしまう。 「ん?」 ふともう一人視線を投げかけている人物に気がつく。 見ればウィンが頬を染めてソラさんを見上げている。 こ、これは…っ。 「だ、ダメだからな!!!!これは俺の!!!!」 慌ててぎゅっとソラさんを抱きしめてウィンに警戒の目を向ける。 案の定、ショックを受けたウィンが 「え!?…師匠とソラさんは恋人同士なんですか!!!?」 「もうばっちりきっぱり身も心も!!!」 誰が師匠かと思いながらもそう言い切る。 「…バーン君…」 と、…腕の中の人物が怒りに震えていた。 「……あ…」 かわいいこの人は、人に知られることをあまり良しとしないのだったと思い出したときにはもう遅い。 「…恥を知りなさーーい!!!!!」 「うぎゃあああああ!!!!」 ピピピピピココピコココココオオオオオオンン!!!! 真っ赤になったソラさんがどこからとも無く出したのはこの世でもっとも情けない+10ハンマー。 その衝撃音が俺の悲鳴と共に工場の中に響き渡ったのだった。 …AND CONTINUE? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ■バーン君とソラさんの紹介も終わったところで、カイとランの二人も含めて4人がメイン人物で後他にまだまだキャラが出て来ると思います。人一杯ー…でもパーティ組んで戦わせないとラグナロクじゃないだろう…ということで。 犬剣士とボケボケBSはキスばかししてる気がします。ちゅっちゅちゅっちゅもういいっちゅーねん!!!というくらいしてますね。痛みを伴うラブラブですが幸せなので由としてもらえれば。 それと十分お分かりでしょうがこのシリーズではまだ未実装の設定を使ってたりします。 あくまで二次創作なので話半分でお願いします。 …今回のゲストの名前は…はい、窓の名前そのままです。もし恋人ができるのならりんごちゃんの名称を借りることになるんでしょう。(いいかげんすぎ…) 次回のネタは枝テロとギルドですかね。お祭りお祭り。 カイとランの話に戻ります。 そういや、BSはカタール作れないって聞いてクラっと…(阿呆)。 物知らずなためにつじつま合わせが大変です…。 所詮ブラスミのハンマーフォール見るたびに「何かピコピコハンマー振り回してるみてぇ」と萌えまくってる女の戯言ですから。 後日談 イズルードまでの道すがら。 「ソラさんって本当何か守ってあげたくなりますよねー。父さんに聞いたとおりの人だ」 「オヤジさんから?…そういやお前、母親は?」 「父さんは結婚してなくて…。あ、俺は道端に捨てられていたところを父さんに拾われたんです」 「ふ、ふーん…」 「家でよく話してくれました。ボケっとしてるけど話してると安心して心が温かくなるって」 「ほー…」 「それにものすごく鈍くて結構狙ってた人多かったけど全然気がつかなかったって」 「………ふ…ふーん………」 狙ってた女、じゃなくて人?それって男も含む? それ以前にそんな事を話す父親って? 「父さんがよく話してくれた人だったから、武器が要るって思った時絶対この人にって思って!」 「そ…そっか」 「本当に話に聞いた通りの人でした!でも残念だなぁ…師匠の恋人だなんて」 それ以前に同性で恋人と言うところに違和感はないのか? そういう環境にあったのか? 「そ、そうだぞ、だから狙おうなんて思うなよ!?」 「はーい!」 そんな良い子のお返事を聞きながら、考えすぎ考えすぎと自己暗示をかけてしまうバーン君でした。 ちゃんちゃん♪ |