互いに片思いをしているにも関わらず、それに気が付かない激ニブのクルセ君とアルケミ君。 前回、運命の女神様がくしゃみをしてしまい、2階にあったアルケミ君の部屋の床が抜けると言うアクシデントが起こった。 だがしかし。この家はギルメンの皆でお金を出し合って借りている借家だったのだ。 アルケミ君は必然的にその修理費を出さざるを得ない状況になったのだが、彼は稼いだお金の殆どを研究費に当て込んでいたせいで無一文に近かった。しかも、床をぶち抜いたせいで大事な研究機材まですべてお釈迦になってしまったのである。 そんな彼がお金を稼ぐ術は魔物狩りしか無く。だが彼は一人で魔物狩りに行けるほどけして強いアルケミストではなかった。 狩りにいくなら心配性のクルセ君が付いていくのであろうが、、目を合わせるたびうつむく様な純情ぶりを発揮しているこの二人。 その上先日クルセ君がアルケミ君と間違いギルマスに告白すると言うことまで起こってしまって、気まずいどころの話ではない。これでは効率など出るわけも無かった。 修理にいるお金が緊急を有する事もあって、結果、狩りはギルメン総出で行われたのだった。 ECO. 〜アルケミ君とクルセ君 その3〜 「目標額達成!!!おめでとー!!!」 笑顔を浮かべて中身の入った木製のカップを掲げたのはまだあどけなさの残るモンクの少年だった。 それを乾杯の音頭にあちこちで8個のカップが上がる。 テーブルでは乗り切れない量の料理と酒に、床にカーペットを敷いてそこに座り込むようにして宴会は始まった。 狩りの出来は上々で、プチレアも出、無事修理工に頼めるだけの金額になった。 「今日はごめんね〜本当なら僕一人でやんなきゃいけないのに」 「気にするな」 「そうそう!助け合い助け合い!帰って来たら天井に穴が開いてるから、吃驚したけどさ。むしろオレ、床抜けた瞬間見たかったな〜!めったに見られるもんじゃないし!」 確かに一生に一度見られるかどうかの珍事ではある。 「あの日臨公なんて行かなきゃ良かった〜。こいつの誕生の瞬間も見たかったしさ〜!」 そう言ってモンク君が引き寄せたのは器用にお酒の入ったカップを蔦で握ってるフローラちゃんだった。 野生のフローラは地面から生えて動かないはずなのだが、このフローラちゃんは植木鉢に根を下ろしぴょんぴょん跳ねる様にして移動していた。 土はもちろん良質のものを使い、アルケミ君が配合した肥料まで与えて栄養万点。そのためかフローラちゃんは今日も生き生きとして、今日の狩にまで付いて来る始末だった。 『しゃげぇぇぇ』 「え?アルケミ君以外に触られたくないって?そんなんじゃ駄目だぞ。お前もギルドの一員なんだからさキョウチョウセイを持たないと!」 協調性がカタカナなのは、モンク君の頭の程を良く表していると思う。 『しゃげしゃげ』 「うんうん。その気持ちは良く分かるよ。よし、今夜はお前も飲め!お前が仲間になった祝いも兼ねてるんだからさ!アルケミ君の作った蜜酒はすんげーうまいぞー。疲れも取れて栄養万点!どっちが多く飲めるか競争だ!」 『しゃげ!!!』 「おう!」 がしっと蔦と腕を絡めて、まるで友情を確かめ合っているかの様な光景にアサシン君とアルケミ君は呆然としていた。 「…君。フローラと話せるの?」 「うん。やっぱ、人も魔物も心から話せば伝わるもんだよね!こいつ話してみると結構いい奴だよ!」 『しゃげ―――――!』 肩(?)を組んでモンク君とフローラちゃんはうんうんと頷いた。 それにアルケミ君とアサシン君は呆然としながら互いを見た。 「分かる…?」 「…いや」 だがしかし、意思の疎通がしっかり出来ているらしい一人と一匹はすっかり意気投合しておいしそうに蜜酒を飲んでいる。 それを横で見ながら、話題に上がったのはアルケミ君の就寝場所についてだった。 一部屋分床をぶち抜いたとはいえ、他の部屋に異常は見られなかった。その日はとりあえず他のギルメン達は各自の部屋で休む事になったのだが一人宿無しとなってしまったアルケミ君のベットが無い。 修理を頼むにしても1日2日で出来るものでもない。それに昨日のように1Fのソファで寝るには寒い時期だった。 そこでギルマスは今夜はクルセ君のとこに世話になれと言ったのだ。 それに吃驚したのは当の本人達である。 「そんな!駄目駄目駄目駄目!」 (僕失恋したてなのに!それに、告白された相手の所に僕を泊まらせるって、ギルマス何考えてるんだよ〜!) 「そ、そうだ。何かの間違いでもあったらどうするんだ!?」 (この状態のまま二人でいたら、今度こそ俺は何をしてしまうかわからない!) むしろ、その間違いを起こせと言ってるんだよ。 この激ニブ共が……。 ギルメンの何人かとその他の人達の心の声が聞こえてくるようだった。 (ああ、今日も良い感じに電波が飛来しておりますね) 思いの他当の本人達の強硬な抵抗にあい、平行線をのまま話が進まない。ギルマスも青筋を立てそうになっていたところで、アルケミ君が隣に座っていたアサシン君の腕を掴んだ。 「お願い。今夜僕を泊めてくれないか?」 これに驚いたのはクルセ君とギルマスである。 「え?」 思わずきょとんとしたアサシン君を反対隣からギルマスが引っ張る。 「それは却下。わかった、それくらいなら俺の部屋を提供する」 ギルマスがアサシン君を腕の中に抱えながらそう提示して、結果アルケミ君はギルマスの部屋を借りる事になった。 そして何故だか当のギルマスがアサシン君の部屋に泊まる事になったのだった。 (…僕…いくら呆然としてたからって何て事をしたんだろう。クルセ君はギルマスの事が好きなのに、彼を他の男の所に寝かせる事になって。・・・悪い事しちゃったな・・・) 眉尻を下げながらちらちらとクルセ君を見るが、当の本人は安心したように黙々と蜜酒を飲んでいる。 「・・・・・・どうかしたか?」 「あ、んん。何でもないっ・・・」 「・・・そうか・・・」 だが互いに気になってしまい、ギクシャクとした空気が二人の間を通り過ぎていく。 クルセ君はクルセ君で、昨日の事の釈明をしたかったのだが、どう言えばいいのか分からずに悶々としていた。 フローラちゃんに頭を齧られているにもかかわらず、それに気がつかないほど考えに没頭している。 それが余計話し掛けずらい雰囲気をかもし出していている事も本人は気付かない。 アルケミ君はそんな空気を振り払うかのようにジョッキの中の蜜酒を一気に煽った。 「おー、いい飲みっぷり!」 モンク君がまたそのジョッキに蜜酒を注ぐ。アルケミ君がまたそれを開けるのを、クルセ君はハラハラしながら見ていた。それなりに飲めるとは知っていても、あまりに早いペースだ。 止めた方がいいのではと口を開こうとした時、背後から腕が生えてきて首を絞められるように後ろに引かれた。 「飲んでるか〜?」 プリーストだ。ごほごほと咳き込むクルセ君の背中をばしばし叩きながら、クルセ君のジョッキに酒を注ぐ。 「空いてるじゃねーか。まー飲め飲め」 「お前はもう控えた方がいいんじゃないか・・・?」 すっかり出来上がっているプリーストにクルセ君はこめかみに青筋を立てている。 「本命に告白する勇気も無い、情けない男には言われたくありません〜」 「!!!?」 慌ててプリーストの口を塞いで、恐る恐る背後を振り返るがアルケミ君はまたジョッキを開けた所だった。 頬を染めながらクルセ君の視線にぽややんと小首を傾げるアルケミ君。酒の所為ではない熱を感じてクルセ君は真っ赤になって黙り込んだ。アルケミ君はクルセ君の動揺など気がつかずに、カップを床に置いた。 「・・・・・・あの、ごめん。僕もう寝るね」 どうやら酒量が眠気に変わったらしい。 「んー、お休み〜」 「すみ〜」 『しゃげっぇぇぇ〜♪』 ふらふらとした足取りのアルケミ君の後を、こちらも危なげなジャンプをしながらフローラちゃんが付いて行く。お酒が入っていてすっかりご機嫌な様子だ。 モンク君が床に転がっているところを見ると飲み比べはフローラちゃんの勝利らしい。 一人と一匹が消えたところで、クルセ君はこめかみに青筋を立ててプリーストの胸倉を掴んだ。 「どういうつもりだ」 「どうもこうも。お前このままで本当にいいのか?ずっと告白しないつもりか〜?」 「っ」 言葉に詰まったクルセ君の横にセージ子ちゃんもにじり寄る。 「しかもアルケミ君はギルマスとあなたの事を誤解したまま。彼は人が良いですからぁ〜。応援してあげようとか、遠慮したりとか、考えてそうですよね〜」 その言葉がずしっと肩に乗る。 「天然だからなぁ。お前とギルマスがくっ付いた暁にはきっと笑顔と花束付きでお祝いしてくれるだろうよ」 「…………………………」 何だかその様子が簡単に想像できてしまい、だんだん落ち込んでいってしまったクルセ君だった。 それでもアルケミ君に誤解だと言えないのは、逆に問われる事が怖いからだ。 あれが誤解だと知ったら、当然「じゃぁ誰に言ったの?」と聞かれるに決まってる。 それに答える事が出来ればとっくに両思いになっているはずの二人である。 本人達以上に事態を把握しているギルメン達にしてみれば、歯がゆいどころの話ではなかった。 「だからもう男なら当たって砕けて見せろ!研究馬鹿は生半可な事では絶対気がつかないって」 すっかり肩を落としてしまったクルセ君の肩にプリ−ストが腕を回す。 にやりと聖職者らしからぬ笑みを浮かべた。 「いっそ犯っちゃえ」 「!!!???」 「今日は向こうも酒も入ってる。絶好のチャンスじゃねーか」 「そんな事が出来るわけ無いだろう!」 そんなプリ−ストの腕を体を起こすことで勢い良く振り払い、ぎろっと相手をにらみつけた。 「相手の意思も関係なく不純な動機でそんな事をすることは神への冒涜だ!むしろ相手を傷つけるだけの行為は、人としても間違っている!!お前も神に仕えるプリ−ストならそんな卑劣な真似を人に勧めるんじゃない!ギルマス!あなたからも何か言ってくれ!」 さっきから何やら考え込んでいたギルマスが、クルセ君の言葉に興味なさ気にちらりと顔を向ける。 そして、懐を何やらごそごそとしていたかと思うと、何やら小さいものをクルセ君に向かって投げた。 放物線を描くようにクルセ君の掌に落ちたのは、小さな鍵だった。 「それ。俺の部屋のスペアキー」 「あんたまで何考えてんだー!!!」 らしからぬほど声を荒げて叫ぶクルセ君の背後でプリ−スト君とセージ子ちゃんはけらけらと笑っていた。 そこで、ギルマスがじろっとクルセ君を睨んだ。 「誤解は早く解く事。これはギルマス命令」 「……普段、命令なんてしたこと無いくせに…」 「そりゃ自分の色恋まで関わってくるからな〜」 「本当人の恋路ほど面白いものはないわよね〜」 何もかも分かっているプリーストとセージ子がニヤニヤとそんな二人を見ていた。 すでに赤い顔をして寝息を立てているアサシン君を膝枕してやりながら、ギルマスは平然とジョッキを傾けた。 「使うか使わないかは、自分で決めれば良い。そうだろ?」 それにクルセ君は息を詰めて黙り込んだ。 秘密は月明かりの下で、密やかに作られていくものである。 宵深く、ギルマスの部屋の扉の鍵が開けられた。 室内のアルケミ君はもうすでにベットの上で寝息を立てていた。 部屋の端の方でフローラちゃんも鼻風船を作ってふらふらと首を振っている。 目が無いので判断が難しいが、どうやら寝ているらしい。 「・・・・・・・・・」 コツっコツっと小さな足音がゆっくりとアルケミ君に近寄っていく。そして、アルケミ君の枕もとでその音は止まった。 カーテンの隙間から漏れる月明かりに立っていたのは、クルセ君だった。 あれからかなりの量の酒を流し込むように飲んで、意識が朦朧として立っているのがやっとと言った風情である。 (何をしてるんだ俺は。こんなとこ見つかったら、何も言い訳できないぞ・・・。) そう分かっていても来てしまったのは、プリーストの言葉が胸に刺さって抜けなくなってしまったからだった。 『このままで本当に良いのか?』 (・・・・・・。かまわないと思っていたはずじゃなかったか) 最初から叶うはず等無いとわかっている恋だった。 理由は同姓だというだけで十分。 だからこそ、見ているだけで満足できると思っていた。 言って軽蔑されるよりも、友人としてずっと傍にいたいと思っていたのだ。 だが。昨日もう死ぬのだと思った時、言うはずの無かった思いを打ち明けてしまった。 あの時思い知ったのだ。 俺の気持ちを知っていて欲しいと。自分は彼に知って欲しかったのだと。 「・・・・・・なんと言う、愚かな」 愚かな男だ。 どうして自分はこんなに欲深いのだろう。 それなのに本人には言えないでいる。 これでは情け無い男といわれても仕方ない。 クルセ君は目を閉じて、膝をついた。 懺悔をするかのように跪くその姿に、カーテンの隙間から差し込む光がかかる。 「・・・・・・?」 膝を付いた時の音に目が覚めたのか、アルケミ君がぼんやりと目を開けた。 すると何だか目の前にクルセ君がいるように見えた。 (あれ?でもここは、ギルマスの部屋だよね。・・・いる訳無いよねぇ) 「・・・ああ、夢なんだ」 そうわかったら何だか嬉しくなったアルケミ君だった。 こんな近くで、何の遠慮も無く彼を見れるなんて。 我が夢ながら、褒めてやりたい。 (ああ、でも何で彼は俯いてるんだろう。顔を上げてくれないかな。そうしてくれたらもっと嬉しいんだけどな) 夢だと判断したアルケミ君の行動は早かった。 布団の上にあった腕を上げて、ちょっとだけ躊躇ってクルセ君の頬に添える。 (うわぁ、触れるなんて、気前の良い夢だなぁ・・・。色の付いた夢は良く見るけど、触れる感触までこんなにリアルなのは初めてだぁ) 妙な所に感激しながら、驚いて顔を引こうとするクルセ君に慌ててもう片手も差し出して引き寄せた。 「っ」 勢いあまってアルケミ君に覆い被さってしまったクルセ君は、酒気が一気に飛んでいってしまった。 だがまだ朦朧としている頭の奥で、鎧でアルケミ君を潰さないようにベットに手を付いて体を支える。 かなり無理な体制になってしまい、付いた腕が震えていた。ここで潰れるわけに行かないと分かっていても、目の前の何だか嬉しそうに笑っているアルケミ君に、クルセ君はつい体の力が抜けてしまいそうになっていた。 首に巻きついたアルケミ君の腕に力が入る。 「・・・っ?」 いや、あの。潰してしまうからそんなに引き寄せられると困るんだが。 というか、これ以上顔が近づいてしまうのは問題が・・・。 え、いや。 あの。その。 アルケミ君はただクルセ君の顔を間近で見たいと思ってるだけで、キスの体制に入っていることなど気が付いてもいない。 それどころか目測でクルセ君のお顔を計ってはそのすばらしき黄金率に感激していた。 だがクルセ君はこの急展開に心臓が破裂しそうに鳴っていた。 顔にかかるアルケミ君の吐息がそれに拍車をかける。 思わず誘惑に負けそうになって目を閉じかけたその時だった。 ばん!!! 「う」 後頭部に強襲を受け、ただでさえ朦朧としていた意識がそこで途絶えた。 支えていた腕も頭も重力に引かれ落ちた。 ガン!! 「っ」 クルセ君から頭突きを食らった上に胸にかかる重量に押しつぶされる形になったアルケミ君も、一瞬呼吸が止まりそこで意識が途絶えた。 一瞬だけ重なった唇に、二人とも気がつくこともなく。 ・・・・しんと静まり返った室内。 そこでもそもそと動き出したのは、物音に目を覚ました一匹の魔物・・・もとい、フローラちゃんだった。 『しゃげげげぇぇ・・・』 まだ眠いのか、恋敵を打ちのめした蔦で口の上当たりをこしこしと擦っている。どうやら魔物の本能でクルセ君をしばき倒したらしい。そのまま意識を手放したクルセ君の足に蔦を絡めた。 引きずられベッドから落ちた時、凄い音がしたがクルセ君が起きる事は無かった。 そのままフローラちゃんにずるずると引きずられていく。 フローラちゃんはドアを開けて、そのままクルセ君をぽいっと廊下に放り投す。 そして内側からがちゃっとドアを閉め鍵をかけた。 しーん。 「・・・・・・ふーむ」 そろそろとローカをこっそり覗く二つの影があった。 プリーストとセージ子ちゃんである。 二人は廊下に伸びているクルセ君を見て、一言。 「「・・・・・・情けなー・・・」」 まったく持ってその通り。 というか、実は覗き見してやがりましたね、二人とも。 こうして秘密の夜はたいした成果も無いまま終わってしまい、あきれ果てた運命の女神様も枕持って奥に篭られてしまいましたとさ。 そして静かに訪れた夜は、静かに過ぎていった・・・・・・かのように見えたのだが。 翌朝。 「ふっくしゅっ」 何故だか廊下で寝ていたクルセ君は、案の定風邪を引いてしまい、くしゃみを連発させていた。 (昨夜何があったんだ?何故廊下なんかで倒れていたんだろう。彼の部屋にいったと思ったのは夢だったのか・・・・・・) 「うう〜〜〜〜…」 その向かいではお酒の所為だろうか、アルケミ君はずきずきする頭を抑えていた。 (変だなぁ・・・何か凄く良い夢見てた気がしたんだけど・・・なんだっけー。ううう、二日酔いかなぁ。頭が痛い・・・) もちろん原因は別にあるのだが、本人達はすっかり記憶を無くしているらしい。 この場合、記憶が無くてよかったと言うべきなのだろうか・・・。それは女神様でさえも迷うところであるらしい。 今日の朝食当番のプリーストがペコ卵のベーコンエッグを人数分並べたところで、ギルマスが降りてきた。 「おはよう」 機嫌よさ気に、片手を上げる。 「あれ?もう一人は?」 一緒の部屋で寝ていたはずのアサシン君の姿が見えない。 「ああ、まだ寝てる」 朝食を一緒に食べるのが決まりだとまで言う気は無いが、アサシン君が朝遅れて来ることなど無かっただけにアルケミ君は不思議に思った。 「二日酔い?」 「そんなとこ」 にっこり笑って席に着くギルマスに、何やら気がついたプリーストが片眉を潜めた。 「ギ・ル・マ・ス」 とんとんと自分の鎖骨あたりを叩く。ギルマスは自分のそこを見てシャツの襟を引いた。だがそこに5本の蚯蚓腫れが走っていたのをその場にいた全員が見てしまった。しかも見えたのは一つだけではなくて。 ・・・・・・あからさまに人がつけたと思わしき引っかき傷なんですが・・・。 「あー・・・」 こほんと一つ咳をして、何時も開けているシャツのボタンをかけた。 しんと静まり返ったリビングで、ギルマスは自分の皿を引き寄せながらなんでもないように。 「ま、そういう事だから」 ・・・・・・そういう事ってどういう事ですか? その日。アサシン君が部屋から出てくる事はとうとう無かったという。 …AND CONTINUE? ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ ギルドメンバー紹介 アルケミ君→クルセ君に片思い中 クルセ君→アルケミ君に片思い中 ギルマス→戦闘型BS。アサシン君に??? アサシン君→ギルマスに??? プリースト→人の恋路ほど楽しいものは無い 女セージ→同文 モンク君→フローラちゃんと友情を育みあっている真っ最中 フローラちゃん→アルケミ君LOVE。クルセ君に敵対心を持ってるあたり、本人達より状況をよく分かっている。 他ギルメンは数名いる模様。 |