「ごめんなさい」
そう言うと、ローグの女性が不服そうに肩をすくめた。
彼女は何度か臨公したことのある女性だった。そして今も一緒に狩りに行った後の精算が終わったところだ。
たった今、彼女から申し込まれたのは自分の相方にならないかという申し出だった。
彼女からの好意を感じなかったといえばうそになる。
ふくよかな胸、すらりとした足。美人の部類に入る彼女は十分魅力的だった。
「貴女には相応しい人がきっと他にいると思います」
「私じゃ不満?」
「いいえ。そういうことじゃないんです。ただ・・・僕にはもったいないくらいだから」
柔和な笑みと言われるものを浮かべてやんわりと断ると、彼女はじっと僕を見上げて言った。
「貴方は単純に優しい人だと思っていたけど、そういうわけじゃないのね」
「・・・・・・・・・・・」
「もしかして貴方の優しさは人を入れない仮面なのかしら?」
「・・・・・・・・・・・」

答えの変わりに微笑むと、彼女は諦めたようにため息をついた。









最高の片想い










たまり場のベンチに座り聖書を開いていると、「The nest」というギルドのエンブレムをつけたローグのカラスがやってきた。
「いよ!色男!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・なんですか」
カラスはどかりと隣に座ってきて顔を寄せてきた。
「あんないい女を振るなんてもったいね〜」
「・・・・・・・・覗き見とは悪趣味ですよ」
僕はその顔を片手で押しのける。
「偶然だって」
「どうだか」
たわいも無いやり取り。だけど、長い付き合いで互いの手の内を知っているからこその軽口とも言えた。
「トキ。今、恋人いないんだろ?付き合っちゃえば良かったのに」
「気の強い女性は苦手なんです」
というより、自分のテリトリーに無遠慮に入ってくる相手が苦手だった。
相手の為に時間を割くのは構わないが、自分の時間に進入されることがイヤなのだ。ましてや自分の部屋に人を入れることも好きではない。
「・・・・・・・ふーん」
「・・・・・なんですか」
意味ありげな相槌が気にかかった。だが、カラスはそれっきり何も言わずベンチの上で膝を抱えて冒険者証を取り出した。さまざまな情報を持つそれでギルド情報を見ているようだった。
「そういやヨタカも狩りに行ってるみたいだったから、てっきりお前と一緒だと思ってたわ」
「ヨタカならアトリ嬢と一緒です」
ヨタカは数ヶ月前に知り合ったアサシンだった。

僕が今いるこのゲッフェンのベンチのたまり場は二つのギルドが集まっているようなところだった。
ギルドの名前は僕やアトリ嬢のような聖職者が多くいる「Viscum album」(宿り木)と、戦闘職が多くカラスやヨタカのいる「The nest」(巣)。
この二つは兄弟ギルドのようなもので、大変仲がよかったし、たまに合同で狩りに行ったりもする。
彼は、「The nest」のギルドの戦闘ブラックスミスのシシギに連れてこられて「The nest」に入ったクリアサだった。
常にゴブリン族の仮面を被り、ファッションサングラスを銀色の髪に乗せているあたりちょっと変わっている。

シュンッと目の前に空間移動してきた影に視線を上げた。
噂をすれば影。ゴブリン仮面のアサシンはこちらに気が付いて手を上げた。
「こんにちはーでござる・・・・よっ!?」
「あ、ごっめーん」
後から現れたプリーストはヨタカに背中からぶつかるようになり、顔を上げながら青く長い髪を靡かせた。
「拙者こそ立ち止まってしまってすまない。怪我は無いでござるか?」
「平気平気」
ふらついたアトリ嬢に、慌てたヨタカはその細い手を掬うように取って支え、そのまま彼女を隣のベンチに座らせた。
「じゃ、拙者収集品を売ってくるでござるよ」
「うん。任せるよ!ありがとう!」
アトリ嬢は自分で持っていた収集品をヨタカに渡す。それを見て二人がグラストヘイムにいっていたのだと知った。
収集品を抱えたヨタカの背中を見送り、アトリ嬢はこちらを向いた。
「いやぁ、ごめんね!旦那を借りてたよ!」
「・・・・・・・旦那じゃありませんって・・・・。アトリ嬢もカモメさんみたいなこと言わないでください」
「いやぁはははははははは!ごめんよーそんな怒るなって」
アトリ嬢は豪快に笑いながら何かを招くように手を振った。
「怒ってません。呆れてるだけです」
最近一緒に狩りに出ることの多い僕とヨタカのことをダンサーのカモメさんをはじめ皆がからかうようになったのはここ最近の話だ。レベルが合えばプリーストとアサシンの相性は悪くない。僕らが狩りに出るのだってただそれだけなのに。
「ふーん?」
また意味ありげな笑みだ。
まったくカラスといいアトリ嬢といい一体何だと言うのだろう。
どこか居心地の悪い沈黙の中にいると、ヨタカが帰ってきた。ゼニーを分け終わったところでヨタカはアトリ嬢と僕の間に座った。
「トキ殿も狩り帰りでござるか?」
「ええ」
頷くと、ヨタカはどこかそわそわとしていた様子をしょんぼりとしたものに変えた。
「そうでござるか」
「・・・・・どこか行きますか?」
「いや。トキ殿も疲れているでござろう?」
「ヨタカがいいならこちらは大丈夫ですよ。そうですね・・・またニブルで黒猫でも」
「ああ」
ヨタカが嬉しそうに頷くのを確認して、僕は腰のポーチから青い石を取り出した。
それを触媒に空間移動の道を作る。
「行ってくるでござるよ」
ヨタカはそう言っていそいそと中に入る。
「暗闇で襲うなよ」
「でも何かあったら後で教えてね〜」
また妖しげな軽口を叩く二人に、拳に親指を立てた状態で自分の首を引っかくように引いて見せて、自分もヨタカの後を追った。

「・・・・・・・・・・・わかってないわよねぇ」
「わかってねーよなぁ・・・・・」
カラスとアトリ嬢はどちらともなくつぶやく。

「「ヨタカにだけはむちゃくちゃ甘いくせにねぇ」」





ヨタカは最初こそ口数も少なかった。だがだんだん一緒に狩りに行くことが多くなるころには色々な話をするようになった。
かといって何でも話すかというとそうでもない。ヨタカの私事は少々秘密が多い。
まず、ゴブリン族の仮面を人前では絶対にはずさない。物を飲む時や食べる時に少々ずらす程度で、持ち前の素早さでささっと食べて直してしまう。その時のわずかなその隙間を見る限り、特に不細工という印象は受けないからそういう理由でつけているわけではないのだろう。本人曰く仮面は顔にフィットして離れないということらしい。
そして常日頃の口調が「ござる」だ。多少時代錯誤な物言いに天津出身なのだろうかと思ったがそういうわけでもないらしい。唯何となくござる口調が身についてしまったのだという。
そんなふざけているかのような外見と口調をしながらも本人は根は素直で真面目だったりする。
狩りに行ってわかったことなのだが、彼は感謝の言葉をよく口にしてくれた。
速度やブレッシングをかけた時、キリエをかけた時。彼と組むようになってから覚えたグロリアを初めて歌った時はヨタカは眼を丸くしていたっけ。その後にうろたえながらも有難うと何でもないように取り繕いながら言ったヨタカの耳はイチゴのように赤かった。
ヨタカに会うまで臨公や身内での狩りが多かった自分は、相手から感謝されながら狩りをする経験が少なかった。
だからなのかもしれない。ヨタカと狩りをするのは楽しかった。何より一緒に戦っているという感じがした。
かといってヨタカもただ真面目なだけじゃない。

「ソニックブロー!!!!」

囲まれた敵にヨタカが焦って出した技は見事に敵に避けられる。
思わず硬直しながらもまた繰り返しその技を出すが、ことごとく避けられているヨタカは背後から見ていてとてもかわいそうというか・・・・・かわいかった。
そういえば草にかけても避けられる腕前だったっけ。
この間輝く草に避けられてしまい、意地になって何度もソニックブローをしかけ風圧だけで刈り取っていた。

「うううううううっ」

背後からヨタカの耳が赤くなっているのを見て思わず噴出してしまう。

こういうムキになる子供っぽさとかがまた面白いのだ。

それに、僕は戦っているヨタカの背中を見るのが好きだ。
グロリアを歌うと、メロディに合わせて細身の身体が舞う。その姿はまるで背中に羽が生えているかのようだった。
銀の髪が月の光を含んで淡く輝き、敵を切り裂くカタールが怪しく煌く。
正確さよりも運に頼るかのようなわずかな場所にある急所を的確に攻撃する姿は見ていて気持ちがいい。
クリアサと初めて組んだ僕は、すぐにヨタカの戦うスタイルが好きになった。
今日はどんな聖歌にしようかと思うのも、自分の歌によって銀が闇を裂くように舞うのに心惹かれるからだ。

横から近づいてくる空虚を抱く鎧の姿に僕は眼を細めた。
「闇のものに永久の安らぎを。ターン・アンデット!」
運よく鎧は崩れ去る。
「助かった!」
成功率が高くないターンアンデットをするのだって、ヨタカの負担を減らすためもあったけど、それよりも成功した時に声をかけてくれるのが嬉しいからだったりする。
何というか・・・・・彼は僕のツボをうまいこと刺してくれるのだ。

出来れば・・・・相方になってほしいけど。そういえないのは、自分の特殊な事情ゆえに。
僕は普通の支援プリーストとはちょっと違った。
詠唱の早さや耐久力よりも敵の攻撃を素早く避けることを選んだ。
だから当然他の支援プリーストよりも癒しの力だって弱い。
後悔はないけど、・・・・・・・こんな自分では彼を守りきれないかもしれないと思うとなかなか言い出せなかった。

今は黒猫の人形をヨタカも集めているからそれを口実に狩りに誘えるけど、彼は本来ならソロであちこちに狩りにいけるだけの能力がある。・・・・・・僕と違って。
元々ソロ狩りをメインにしてきたらしいし、黒猫が集まってしまえばもしかしたらまたソロ狩りに戻るかもしれない。
それに彼の人柄に惹かれているのは僕だけではない。うちのギルドの他のプリーストもちょくちょく狩りに誘ってるらしいからその中から相方を見つけるかもしれない。
それはヨタカの自由なんだけど・・・・・やはり面白くなかった。
こんなだからヨタカと同じギルドにいるダンサーのカモメさん達から怪しいの怪しくないのと言われるんだろうなぁ・・・。

でも恋とは違う、と思う。
一緒にいて楽だし楽しい相手だ。相方でなくても友人といって良いかもしれない。
知り合いはたくさんいても、少々性格がひねくれている自覚があるので必要以上に近い相手を作らなかった僕にとって初めて近づきたいと思った相手。

「包丁が出たでござるよ」
「うん」

もし、黒猫の人形が集まったら次はどんな口実を作ろうか。
僕はそんなことを考えていた。


ところがどっこい。
人生何が起こるかわからない。

「ヨタカ。安い宿屋知りませんか?アパートでもいいんですが」
今週にも寮を追い出されようとしていた僕は、住む場所を探さねばならず、ダメもとでヨタカに聞いた。ヨタカは暫く考えて、ポンッと拳で自分の手を叩いた。
「拙者の今住んでいるところはどうだろう」
「え、空いてるんですか?」
ヨタカの住んでいる宿屋がゲッフェンにあることは知っていた。その宿屋に空き部屋があるのだろうかと思った。
「拙者が借りている宿屋は少々変わっていて、二部屋で一つになっているのでござるよ。半分は壁で仕切られていて行き来できるが、間に衝立か何かあれば特に問題は・・・・・」

え。

ヨタカの提案はルームシェアだった。
まさかヨタカがそんな提案をしてくるとは思わなかったので僕は驚いた。
彼は自分と同じように他人を必要以上近づけないようにしているように思っていた。そしてそれはけして間違いではないはず。

だったら・・・・・。僕は彼のその線を越えることを許されたのだろうか。
そうだったらと思ったら顔が熱くなるのを感じた。

ぽかんとしていた僕に、何やら勘違いしたヨタカは肩を落とした。
「いや、すまない。差し出がましかったでござるな・・・・」
「あ、いや・・・・・っ」
僕は慌てて両手を振った。
確かに自分のテリトリーに人を入れるのを好まない僕ではあるのだけど、・・・・・・・・ヨタカと一緒という条件には心動いた。
頭の中の天秤が「ヨタカと一緒」「一人の気軽さ」の間で揺れ動く。

でも、もしかしたらこれはもっと親しくなれるチャンスなのかもしれない。

「ルームシェアかぁ・・・・。それなら・・・・家賃も安く済みますねぇ」
そんなの建前だ。言っても変ではないことをつらつらといいながら頭の中はパニックだった。
「でも、・・・・・・・ヨタカはいいの?僕と一緒に住むことになって。窮屈になるかもよ?」
ヨタカの答えは早かった。
「トキ殿とならいいでござる」
「・・・・・・・・・・・そか」

ヨタカが無理しているようには思わなかった。
だったら・・・・・・僕も迷うことは無いんじゃないだろうか。

「じゃ、よろしくお願いします」
「・・・・・・・・こちらこそ、よろしくでござるよ」
頭を下げるとヨタカも慌てて同じように頭を下げた。そして同時に顔を上げてどちらからとも無く笑った。
二人並んで夜のゲッフェンを歩く。
さっきまでの距離より少しだけ近づいたような気がした。
「カモメさんが知ったらまた喜びそうですねぇ」
「そうでござるなぁ」
同居か同棲かと騒ぎそうだ。それはそれで煩そうだが構わないと思う。
他人には好きなように言わせておけばいい。大事なのは自分の心。

ヨタカは大事な友人。できたら、相方といつか呼びたい相手だった。
こんな自分では彼に不釣合いかもしれないが、それでも・・・・・。

ささいな支援にも感謝を告げてくれる彼のことを。
僕の避ける能力を理解し、頼ってくれる彼のことを。
自分の歌声に舞う彼のことを。
どこかそそっかしくて子供のような、でも冗談で場の空気を和ませてくれるような彼のことを。

もっと知りたいと思った。
そしてできるなら・・・・もっと近くにいたい。

街灯が切れている路地に入り、互いの顔すらぼんやりとしか見えないところで突然ヨタカが立ち止まった。僕は5歩先で立ち止まって振り返る。
「・・・・・・・・・・・」
ヨタカの背後には遠く街灯がある。だから僕からはヨタカの顔は影になって見えない。
唯でさえ仮面をつけているから見えるわけが無いのだけど。

「・・・・・・・?」

だが、突然ヨタカは自分の仮面に手をかけた。下ろされた手には外された仮面がある。
僕は息を呑んだ。

『拙者の住んでいたところではこの仮面を取り素顔を見せた相手と結婚せねばならぬ掟があるからして』
カモメさんにさっき言っていたあの冗談が何故だか脳裏に浮かんだ。

だが、僕の驚きはそれだけの話じゃない。
彼の仮面は、彼の本心を隠すためのものではないだろうかと思ったことがある。僕の建前の優しさと一緒だと。
彼の感情は顔が見えなくとも声やたまに赤くなる耳でわかるから特にその素顔にこだわることは無かったのだけど、その仮面こそが彼の内と外を隔てるもののようだった。
その垣根が今、目の前で取り外された。

表情は見えなくとも、微かな光がその瞳を反射させた。
妖しくも優しい漆黒の闇のようでもあり、赤く反射しているようにも見えた。

月の光を纏うその姿に僕はまるで幻想の世界に来たような錯覚すら覚えた。

「トキ殿。拙者、トキ殿と出逢えたことを神に感謝する」

幽玄なその姿とは裏腹にはっきりと告げられた言葉は優しさと嬉しさに満ちていた。

「・・・・・・・・・・・・」

はたして・・・・この世界でどのくらいいるのだろう。
自分を本当に必要だといってくれる相手に出会える人は。
そして出逢ったことすら嬉しいと言ってくれる人に会える人は。


・・・・・・・・・この人と一緒にいたい。


それは自分の中に始めて生まれた強い欲だった。
今まで思ってきた気持ちなのにまるで重みが違う。
寄ってくるものは拒まず、去るものは追わずだった自分が、初めて放したくないと思った。

どうしよう。
今、ヨタカを抱きしめたい。
この腕で捕まえたい。

だけど、この欲望は友情を超えたところにある様な気がして一歩も足が踏み出せなかった。
触れればきっと抱きしめてしまうだろう。もしかしたらそれだけじゃすまないかもしれない。
僕は固く両手を握った。

まずい。

僕は始めて自覚した。
これは、友情じゃない。
自分の今のこの気持ちは友情じゃない。

ヨタカは友情の証にだろう、素顔を見せてくれたのに。
他の誰にも見せなかった素顔を見せてくれたのに。
それなのに。

自分のこの邪な気持ちは・・・・・・彼にとって裏切り行為に他ならない。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

心臓が締め付けられるかのように痛む。
ほしいと思う反面、僕はこの気持ちを隠さなくてはいけないと思った。
言えば真面目なヨタカは苦しむだろう。もしかしたら距離を置かれてしまうかもしれない。
冗談なら受け止められる自分達でも、本気だとしたらもう今のままではいられなくなる。
だけど僕はそれを望まない。


望むものは、・・・・・・彼とずっと共にあること。


それは茨の道を歩くような真似なのかもしれない。
きっと痛みを伴うものだろう。
だけど。

「僕も・・・・・感謝します」

ヨタカへの恋を忍ばせる辛さも、共にある喜びには勝てない。
感情を隠すのは得意だった。ヨタカのように仮面をつける必要も無いくらいに。
そんな器用な自分がたまにイヤになるときもあったが、この時ばかりは感謝したい。

「ヨタカに・・・・・会えてよかったです」

この恋慕を口にするとしたら、きっと愛しいという言葉しか出ないに違いない。
だけど、今はそれを欠片も発することすら許されない。
だから代わりに告げた。

「嬉しいです」

人間不信な僕にこんなにも強く人を好きになれることを教えてくれたヨタカ。
だけど、こんな深い独占欲をヨタカが知ったら怖がるか侮蔑の目を向けてくるかもしれない。
それが怖かった。

どうか僕を怖がらないで。
そして拒絶しないで。
もしヨタカに拒絶されたら僕は自分でなにをするかわからない。

「・・・・・・・・」

・・・・・・・知らなかった。
人を好きになるということは、こんなにも恐ろしいことだったのか。

いや、逆だ。こうなることがわかっていたから、自分は誰かを好きになることをしなかったのだ。

『もしかして貴方の優しさは人を入れない仮面なのかしら?』

女ローグから言われた言葉を思い出す。
優しさは壁。それ以上に僕は人を必要以上に好きになどなりたくなかった。

好きになればきっとその人のすべてがほしくなる。
自分のものだけにしたくなる。
そんなことできるわけがないとわかっていて、それでも押さえ込めない欲望を持っていることを自分は知っていたから。

神に仕える身でありながら、何とこの心の強欲なことか。


ヨタカは、こんな僕の内心など知らないで、嬉しそうに肩をすくめて笑った。







翌日、僕は少ない荷物を纏めてヨタカの住む宿屋の門をくぐる。
後に『結婚』を申し込まれることなど知らない僕は、罪は犯すまいとそれだけを思いながらヨタカと暮らし始めた。

苦しくも幸せな生活の、それが始まり。



+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

プリアサでもアサプリでもどっちでもいいような気がしてきました。

嫁にもらわねばとか後に言ってるこの場面で彼はこんな薄暗いことを考えていたようです・・・・。










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