「恋人達に贈るバレンタインチョコ!一ついかがかな、諸君」
マッドの気があるアルケミスト・アケミが取り出したのは
綺麗にラッピングされたバレンタインのチョコレート。しかも二つ。
それを前にして口をへの字に曲げているカイとバーン。
「いらない」「あ、俺も。どうせまた何か入ってるんでしょ?アケミさん」
「僕が何も入れないと思うか?」
「「尚更いらない」」
「まぁ、聞け」
アケミは周囲に聞こえないように二人の肩を引き寄せるようにしてニヤリと笑った。
「……実はこれ。…食べると『ちょっと気持ち良い気分になっちゃったりする』んだなぁ、これが」
「………」
「ほほう……イロイロと練りこまれているわけですな…」
案の定ぴくりと反応してきた二人にくくくと笑う。
「もちろん後遺症は無いぞ。…使うか使わないかは、君達に任せるよ。
今回はサービスだが、3月は期待しておくと言っておこう」
ではっと去っていくアケミ。その腕にはこのチョコが山ほど入っているのだろう白い紙袋があった。
またどこのどなた方に配る気なのやら…。
早く彼氏が出来ればまだこっちの身の安全も確保されると思うのだが、
『男より実験』の彼女には馬耳東風…。
残された二人の手には一つづつチョコが残され、互いにどうするか顔を見合わせていた。
14日何があったかはそれぞれの恋人達の為に秘密という事で。
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