夕日の色






騎士は出来上がったばかりのひんやりとした冷気を放つクレイモアを手にして、その握りやすさに驚いた。軽く振っただけでも、今まで露店で見てきたものとは違うとわかる。
騎士は目を細めて水面のような刀身を嬉しそうに見つめた。
「・・・・・・ありがとう。気に入ったよ」
「そうか」
ブラックスミスは変わらず愛想の無い返事をするが、騎士はそれでも構わなかった。やはりこのブラックスミスは変人だが腕はいい。
「あと3色もお願いします。できれば星入りで」
「・・・・・わかってるだろうが星いれるとそれだけ失敗する確立もあがるんだぞ」
「材料ならいくらでも集めます。お願いします。俺の命を預けるものなんだ。妥協したくないんです。俺は貴方の武器が欲しい」
騎士は真剣な顔でブラックスミスを見た。
ブラックスミスも黙って騎士を見返した。
「・・・・・・・すごい殺し文句だな」
やがてブラックスミスはにやりと笑った。その意地の悪い笑みに、一瞬怪訝そうな顔をした騎士は瞬間顔を真っ赤にしていきり立った。
「ちゃかさないでください!」
「くっくっく」
ブラックスミスは肩を震わせながらタバコを咥えて火をつけた。
「お前に守りたいものはあるか?」
ブラックスミスが聞くと、騎士はカァッと顔を赤らめて俯き加減にぼそっと呟いた。
「守りたいというか・・・その」
「なんだ、はっきりしない奴だな。恋人がいるかとかそういうこと聞いているわけじゃねーんだが」
「こいっびとっ・・・・まだ、彼女に告白もしてないっつーか・・・・っ」
そんなこと誰も聞いてはいない。
どうやらこの騎士は武器が出来上がって少々興奮しているらしい。
「・・・・・・・・・・・お前、墓穴掘るタイプだな」
哀れみにも似た視線を向けられて騎士は泣きそうな顔でほっといてくださいと叫んだ。








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